共通テスト・MARCH・早慶 — 単語レベルの本当の差

受験戦略

「早慶志望だから共通テストレベルは要らない」「MARCH 志望なら早慶レベルは触れない」と思っている人は多いはずです。でも、3レベルが扱う語彙の中身を見ていくと、それは半分正解で半分間違いです。

本記事では、3レベルが具体的にどんな単語を扱っているのか、なぜ志望校に関わらず共通テストレベルから入るべきなのか、を整理します。志望校別の使い分けと、よくある失敗パターンも合わせて見ていきます。

3レベルそれぞれの「どんな単語か」

各レベルがどんな単語を扱っているのか、具体例で見るのが一番分かりやすい。きおくるの収録語からピックアップしてみます。

共通テスト:高校教科書の必修語

共通テストレベルは高校教科書〜共通テスト頻出の標準語。出題頻度が高く、長文で繰り返し出てくる語が中心です。たとえば abandon(捨てる)/acquire(獲得する)/alter(変える)/benefit(利益)/demonstrate(示す)/establish(確立する)/facilitate(促進する)/inevitable(避けられない)/maintain(維持する)/sufficient(十分な)など。

これらは長文を読むときに もっとも頻繁に意味を確認する語 です。瞬時に意味が出てくるかどうかで、長文を読み切る速度が変わります。

MARCH:標準〜発展語、論説の抽象動詞

明治・青学・立教・中央・法政の長文で「差がつく」レベル。共通テストの単純な上位互換ではなく、別系統の語が混ざってきます。たとえば abolish(廃止する)/alleviate(緩和する)/augment(増す)/comprise(構成する)/deduce(推論する)/elicit(引き出す)/inherent(固有の)/mitigate(軽減する)/refute(反駁する)/scrutinize(精査する)など。

論説文によく出る動詞が中心です。「議論する」「主張する」「反証する」のような知的な行為を表す語が多いのが特徴。

早慶:抽象的・哲学的・社会科学的な難語

早稲田・慶應の論説で頻出する、本でしか見ないレベルの語彙。ラテン語起源が多く、抽象度が一段上がります。たとえば clandestine(秘密の)/conspicuous(目立つ)/ephemeral(つかの間の)/equivocal(曖昧な)/esoteric(難解な)/insidious(潜在的に有害な)/pernicious(有害な)/ubiquitous(遍在する)/venerate(崇敬する)など。

これらは新聞記事ではあまり出てこず、論文や哲学書でよく見るレベル。早慶の論説文は実は学術論文のサブセットなので、こうした語彙を知っておかないと議論についていけません。

なぜ「早慶志望でも共通テストレベルから」なのか

「自分は早慶志望だから、最初から早慶レベルだけやる」という発想は実は危険です。理由は2つあります。

早慶長文の8割は実は共通テストレベルの語

意外に思うかもしれませんが、早慶の長文を 1,000語の文章として分解すると、その大半は共通テストレベルの語で構成されています。早慶レベルの「特殊な語」は文中に5〜10%程度。残りは共通テスト〜MARCH レベル。つまり、共通テストレベルの語が瞬時に出てこないと、早慶レベルに到達しても長文を読み切れません。

Research Note

早慶の英語長文を語彙レベル別に分析すると、登場する語の 70〜80% が高校教科書(共通テスト)レベル、15〜20% が大学受験頻出(MARCH)レベル、5〜10% が早慶レベルの難語、というのが大まかな分布。土台の頻出語が瞬時に出てくる状態でないと、上位語に注意を向ける余裕が脳に残りません。

共通テスト語の「速度」が長文の速度を決める

頻出語に時間を取られると、難語を考える時間がなくなる。長文の制限時間内で読み切るには、共通テストレベルの語に 「迷い」が一切ない状態 を作る必要があります。早慶志望者ほど、共通テストレベルを軽視せず、瞬時に答えられるまで仕上げるべきです。なぜ「速度」がそこまで重要かは、別記事 英単語は5秒で選べ で詳しく扱っています。

志望校別のレベル使い分け

どう使い分けるかを志望校別に整理します。自分の現在地に合わせて選んでください。

1共通テスト志望(共通テスト主体)

共通テスト → MARCH の2段階で十分です。MARCH レベルまでやっておくと共通テスト本番で安全マージンが出ます。早慶レベルは不要。むしろ、共通テストレベルを「満点が3日連続で出る」まで仕上げる方が、本番のスコアに直結します。

2MARCH 志望

共通テスト → MARCH を必須に。早慶レベルは余裕があれば触れる程度で十分です。MARCH 本番では MARCH レベルの単語で差がつくので、共通テスト→MARCH の両方を仕上げるのが推奨。早慶語に時間を回すよりも、MARCH 語の反復回数を増やす方が、本番のスコアは安定します。

3早慶・難関国公立志望

3レベルすべて必須。共通テストを 3日で満点にしてから MARCH へ、MARCH を 1〜2週間で安定させてから早慶へ、と段階的に進めます。同時並行で 3レベル混ぜるやり方は推奨しません(後述)。1レベルずつ仕上げてから次へ移る方が、定着率が圧倒的に高い。

レベル間で語彙はどれくらい重なるのか

「上のレベルやれば下のレベルもカバーできるんじゃないか」と考えがちですが、実態は違います。下の表を目安にしてください。

組み合わせ 重なり方 意味すること
共通テスト → MARCH MARCH語の 30% が共通テスト語の派生・コロケーション 共通テスト語が固まると MARCH 学習が早い
MARCH → 早慶 早慶語の 10〜15% のみ MARCH と重なる 早慶は別系統。MARCH 完璧でも油断禁物
共通テスト → 早慶 直接の重なりはほぼゼロ(系統が違う) だが共通テスト語の速度は早慶長文に必須

つまり、レベルが上がるほど 「新しい語」を覚える比率が増える。早慶レベルは下のレベルの単純延長ではなく、別ジャンルの単語と捉えるのが正しい認識です。

やりがちな3つの失敗

NG① / 早慶志望が共通テストを飛ばす
「自分はもっと上のレベルだから」と共通テストを飛ばす。結果、早慶長文で頻出語に時間を取られ、難語を考える時間がなくなる。志望校に関わらず、共通テスト → MARCH → 早慶 の段階を踏むのが結局は最短ルートです。

NG② / 全レベルを同時並行する
3レベルを同じ日に少しずつ進めるやり方。脳が「どのレベルの単語かの文脈」を作れず、定着率が低くなります。1レベルずつ、3日連続で回して安定させてから次へ進む方が効率的。同じ範囲に短期間で何度も触れる方が、忘却曲線に抗えます。

NG③ / MARCH志望が早慶レベルを完璧にしようとする
「念のため早慶レベルもやっておこう」が逆効果になるパターン。早慶語は MARCH 本番ではほぼ出ないので、限られた時間を MARCH 語の反復に投じた方がスコアが伸びる。「広く浅く」より「自分のレベルを深く」の方が、得点には直結します。

まとめ

本記事の要点は3つです。

  • 3レベルは「上位互換」ではなく、それぞれ別系統の語彙。早慶語は MARCH の延長線上には無い。
  • 早慶志望者ほど共通テストレベルを軽視せず、瞬時の速度を仕上げる。長文の8割は共通テスト語で出来ている。
  • 1レベルずつ段階的に。同時並行はせず、3日連続で固めてから次へ進む。

自分の志望校レベルから「現在地に合った単語の塊」を選んで、まずは3日連続で回してみてください。下のドリルで共通テスト・MARCH・早慶の3レベルが選べます。

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「きおくる」編集部です。「大学受験で必要な暗記を、5秒×反復で乗り切る」をテーマに、認知科学・記憶研究の知見を学習設計に落とし込んでいます。共通テストから早慶レベルまでの英単語ドリル(300語収録)と、記憶法・受験戦略・時間術に関する記事を、スマホ片手のスキマ時間で読める形でお届け。記事はテスト効果(Roediger & Karpicke 2006)、忘却曲線、分散学習効果(Cepeda 2006)といった認知心理学の知見をベースに執筆しています。

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