Architect Associateの山場は、はっきりしています。ネットワークです。VCNの中でサブネットをどう切り、どのゲートウェイを付け、セキュリティリストとNSGのどちらで制御するか。ここを図で説明できるようになれば、この試験の体感難易度は半分になります。
OCI Architect Associate(1Z0-1072)は、Oracle Cloud上でインフラを設計し、構築し、運用できることを示すアソシエイト資格です。入門のFoundationsが「何があるか」を問うのに対し、こちらは「要件に対してどう組むか」を問います。出題はシナリオ形式が中心で、ネットワーク、コンピュート、ストレージ、IAM、可用性の各領域から、構成の妥当性を判断させる設問が並びます。この記事では、ゲートウェイの使い分けとIAMポリシーの構文という2つの関門を中心に、合格までの道筋を整理します。
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この記事でわかること
- Foundationsとの問われ方の違いと、設計側に切り替えるポイント
- IGW・NAT・Service Gateway・DRG・LPGというゲートウェイ5種の使い分け
- セキュリティリストとNSGの判断基準、IAMポリシーの構文
- Always Free枠を使ったハンズオンの最小セットと学習期間の目安
シナリオ問題は読解量が多く、用語で止まると時間が足りません。設計語を先に即答化してから構成パターンを積む——この順序が結局いちばん速く着きます。
→ なぜ「思い出す」練習で定着するのか(テスト効果の科学)
- Architect Associateは「作れるか」を問う|Foundationsとの決定的な差
- 出題の重心|VCN設計・コンピュート・ストレージ・IAMポリシー
- ゲートウェイ5種を線で覚える|IGW・NAT・Service・DRG・LPG
- セキュリティリストとNSG|どちらで制御するかの判断基準
- IAMポリシーは「書ける」まで持っていく
- ストレージ3種の選び分け|Block・Object・File
- 可用性ドメインと障害ドメインで冗長化を組む
- 設計語を固める|OCI Architect Associateドリルの使い方
- Always Free枠でVCNを1本作ってみる
- シナリオ問題の読み方|要件語から構成を逆算する
- Foundationsからの距離別・学習期間
- 教材ルート|MyLearnのラーニングパスとハンズオン
- Udemyの講座・模試で弱点を潰す
- 合格後|OCI設計を任される、そしてProfessionalへ
- Associateでつまずく典型
- Architect Associateのよくある疑問
- 押さえどころの整理
Architect Associateは「作れるか」を問う|Foundationsとの決定的な差
Foundationsは「Object Storageとは何か」を聞きました。Architect Associateは「この要件を満たすストレージ構成はどれか」を聞きます。同じサービス名が出てきても、問い方がまったく違います。
設問の典型は、短い背景(アプリの構成、可用性の要件、コストの制約、接続元の条件)が示され、そのうえで構成の選択肢が4〜5個並ぶ形です。技術的に成立する選択肢が複数あるので、要件のどれに反しているかで消していくのが解き方になります。したがって学習も、サービスの説明を読むだけでは足りず、「この要件ならこれ」という対応づけまで作る必要があります。
OCIの設計を評価するとき、実務でも試験でも問われる観点は同じです。①外に出る経路は最小か ②障害の単位をまたいで冗長化されているか ③権限はコンパートメント境界で切れているか。この3つを構成図に対して自問する癖をつけると、設問の意図が読みやすくなります。
模擬試験は学習の最後ではなく最初に1回。弱点が見えると本文の勉強法が自分ごとになります。OCI Architect Associateの講座・模試をUdemyで見る →(PR・セール時は大幅割引)
出題の重心|VCN設計・コンピュート・ストレージ・IAMポリシー
Oracleはドメイン別の配点を公開していませんが、公式トピックの構成から重心は読み取れます。
| 領域 | 問われること | 優先度 |
|---|---|---|
| ネットワーク(VCN) | サブネット設計、ゲートウェイ、ルート表、セキュリティ制御、ロードバランサ | 最優先 |
| IAM | ポリシー構文、コンパートメント設計、動的グループ、フェデレーション | 高 |
| コンピュート | シェイプ、インスタンス構成、オートスケーリング、OKE | 高 |
| ストレージ | Block/Object/File、バックアップ、レプリケーション、階層 | 中 |
| 可用性・データベース | AD/FDによる冗長化、バックアップ、Autonomous Database | 中 |
試験の問題数・時間・合格ラインは改定されることがあります。申し込み前にOracleの公式試験ページで最新の条件を確認してください。
ゲートウェイ5種を線で覚える|IGW・NAT・Service・DRG・LPG
ここが最大の得点源であり、最大の失点源です。「どこからどこへ、どの向きの通信を通すか」で覚えます。
| ゲートウェイ | 通す通信 | 設問での合図 |
|---|---|---|
| インターネットゲートウェイ(IGW) | パブリックサブネット ⇔ インターネット(双方向) | 外部から直接アクセスさせたい |
| NATゲートウェイ | プライベートサブネット → インターネット(外向きのみ) | パッチ取得はしたいが外から入られたくない |
| サービスゲートウェイ | VCN → OCIのサービス(Object Storage等)※OCIネットワーク内で完結 | インターネットを経由させたくない |
| 動的ルーティングゲートウェイ(DRG) | VCN ⇔ オンプレミス/他リージョン/他VCN | VPN、FastConnect、拠点間接続 |
| ローカルピアリングゲートウェイ(LPG) | 同一リージョン内のVCN ⇔ VCN | 同じリージョンでVCNをつなぐ |
特に取り違えが多いのがNATゲートウェイとサービスゲートウェイです。どちらもプライベートサブネットから外向きの通信を可能にしますが、宛先が違います。Object Storageへのアクセスならサービスゲートウェイ(OCIのネットワーク内で完結し、インターネットに出ない)、外部サイトからのパッケージ取得ならNATゲートウェイ。設問に「インターネットを経由させずに」と書かれていたら、答えはサービスゲートウェイ側です。
あわせて、ルート表はゲートウェイとセットで初めて機能する点も押さえてください。「ゲートウェイを作ったのに通らない」という設問は、たいていルート表かセキュリティ制御に原因があります。
セキュリティリストとNSG|どちらで制御するかの判断基準
OCIには通信制御の仕組みが2つあります。混同すると設計問題を落とします。
1セキュリティリスト(Security List)
サブネット単位で適用されるルール群。そのサブネットに置かれたすべてのVNICに一律で効きます。「このサブネット全体で80番を許可」といった粗い粒度の制御に向きます。
2ネットワークセキュリティグループ(NSG)
VNIC単位で適用されます。同じサブネットの中でも役割ごとに別のルールを当てられ、しかもルールの送信元/宛先にNSGそのものを指定できるのが強力です。「Web層のNSGからのみDB層へ許可」といった書き方ができます。
3判断基準
階層が分かれた構成(Web/App/DB)や、同一サブネットで役割が混在する場合はNSG。サブネット全体に共通の基本ルールを敷くならセキュリティリスト。併用した場合はいずれかで許可されていれば通る点も押さえておきます。
IAMポリシーは「書ける」まで持っていく
OCIのポリシーは英文に近い構文です。基本形はこれ。
Allow group <グループ名> to <動詞> <リソース種別> in compartment <コンパートメント名>
動詞は権限の強さの順にinspect(一覧・メタデータ)→ read(内容の読み取り)→ use(既存リソースの利用・更新)→ manage(作成・削除を含む全操作)の4段階。この順序は設問で直接問われます。リソース種別には instance-family、object-family、virtual-network-family のようなファミリー指定があり、個別に書かずまとめて許可できます。
覚えておきたい派生が2つ。動的グループは、ユーザーではなくインスタンスなどのリソース自体を主体にする仕組みで、「インスタンスがObject Storageに書き込む」ような構成で使います。フェデレーションは外部のIDプロバイダと連携する仕組みです。また、ポリシーはテナンシ(ルート)に書くか、コンパートメントに書くかで効く範囲が変わる点も頻出です。
ストレージ3種の選び分け|Block・Object・File
ストレージは用途で切り分けます。Block Volumeはインスタンスにアタッチして使うディスク(1つのインスタンスに1本が基本、共有アタッチも可)。Object StorageはHTTPでアクセスするバケット型で、標準層とアーカイブ層があり、ライフサイクルポリシーで移行できます。File StorageはNFSで複数インスタンスから同時にマウントする共有ファイルシステムです。
設問での合図は分かりやすく、「複数のインスタンスから同じディレクトリを見たい」ならFile Storage、「大量の非構造化データを安く長期保管」ならObject Storageのアーカイブ層、「データベースのデータファイルを置く」ならBlock Volume(性能レベルの選択も出ます)。加えて、バックアップとクロスリージョンのレプリケーションがどのサービスで可能かも押さえておきましょう。
可用性ドメインと障害ドメインで冗長化を組む
冗長化の設問は、「どの単位の障害に耐える構成か」を問います。リージョンによって可用性ドメイン(AD)が1つの場所と3つの場所があるため、ADが1つのリージョンではフォルトドメイン(FD)をまたいでインスタンスを配置するのが基本形になります。ADが3つあるなら、ADをまたぐことでデータセンター単位の障害に備えられます。
その上に、リージョンをまたぐ構成(DR)が乗ります。Associateレベルでは、リージョン間のバックアップ/レプリケーションと、DRGを使った接続までを押さえておけば十分です。ロードバランサ(パブリック/プライベート、リージョナル)とヘルスチェックを組み合わせて、障害時にトラフィックを健全なバックエンドへ寄せる——という基本形も定番の出題です。
設計語を固める|OCI Architect Associateドリルの使い方
シナリオ問題は読む量が多く、用語の想起で止まると時間が足りなくなります。逆に、ゲートウェイとポリシー動詞が反射で出る状態にしておくと、読解に集中できます。きおくるのOCI Architect用語ドリルは、ネットワーク・コンピュート・ストレージ・IAM・可用性の頻出+発展の用語をこの形式にまとめています。
1ゲートウェイは「向き」で覚える
双方向(IGW)、外向きのみ(NAT)、OCI内で完結(サービス)、拠点間(DRG)、VCN間(LPG)。向きが言えれば選択肢は絞れます。
2ポリシーの動詞を階段で覚える
inspect → read → use → manage。強さの順序を間違えると、最小権限を問う設問で必ず落とします。
3冗長化の単位を対で確認する
FDはAD内、ADはリージョン内、リージョンは地理単位。どのレベルの障害に対応するかをセットで答えられるように。
Always Free枠でVCNを1本作ってみる
この試験に限っては、ハンズオンの費用対効果が非常に高いです。OCIのAlways Free枠を使って、次の流れを一度だけ通してください。所要2〜3時間ほどです。
- VCNウィザードでパブリック/プライベートのサブネットを作る(IGWとNATが自動で付くのを確認)
- パブリック側にインスタンスを1台立てて、SSHで入る
- プライベート側に1台立てて、パブリック側を踏み台に入る(NATゲートウェイ経由で外に出られることを確認)
- セキュリティリストとNSGの両方でポートを開けてみて、効き方の違いを見る
- Block Volumeをアタッチしてマウントする
この一連を通すと、ルート表・セキュリティ制御・ゲートウェイの関係が図として頭に入ります。テキストを3回読むより速いです。
シナリオ問題の読み方|要件語から構成を逆算する
本文中の要件語に印を付けてから選択肢を見るのが基本です。「インターネットに公開しない」「パッチ取得のため外向き通信のみ許可」「複数インスタンスから同時アクセス」「コストを最小に」「ハードウェア障害でも停止しない」——これらは、それぞれ特定の構成を名指ししています。逆に、要件に書かれていない冗長化やサービスを含む選択肢は、たいてい過剰でコストの面から外れます。時間が読めない設問には見直しフラグを立て、一巡してから戻りましょう。
Foundationsからの距離別・学習期間
毎日40分 × 5〜7週間ペース
毎日30分 × 3〜5週間ペース
毎日30分 × 3〜4週間ペース
教材ルート|MyLearnのラーニングパスとハンズオン
Associateでも、学習の主役は無料の公式トレーニング(Oracle MyLearn)です。Architect Associate向けの学習パスは体系的に組まれており、動画と資料に加えて演習が用意されています。書籍を探すより、こちらを軸に据えるほうが確実です。
ゲートウェイとポリシー動詞を固める
学習パスを通し、VCNを実際に組む
要件から逆算する読み方を反復
模試の使い方にコツがあります。正解を確認して終わりにせず、「他の3つがなぜ不適切か」を一言で言えるかを毎回チェックしてください。この作業を20問分やるだけで、要件と構成の対応づけが一気に整理されます。Associate以上の試験では、この振り返りの質が正答率に直結します。
Udemyの講座・模試で弱点を潰す
公式パスは網羅的ですが分量があります。ネットワーク設計だけを日本語で集中的に補いたい、あるいは模擬試験を数多くこなしたい——そうした目的には市販の講座が向きます。
合格後|OCI設計を任される、そしてProfessionalへ
1設計を自分で決められる
サブネットの切り方、ゲートウェイの選択、NSGによる階層間の制御、AD/FDをまたいだ冗長化。設計書のレビューで「なぜこの構成か」を説明できる立場になります。
2上位資格へ進む
次はOCI Architect Professionalです。複数VCNのトランジットルーティング、クロスリージョンのDR、自動化まで範囲が広がります。
3マルチクラウドへ広げる
Oracle認定の全体像はOCI認定は狙い目?Oracle Cloud 3資格の順番と勉強法で整理しています。他クラウドと組み合わせる順番はクラウド資格はAWS・Azure・GCPどれから?が参考になります。
Associateでつまずく典型
典型①:NATゲートウェイとサービスゲートウェイを混同する
宛先が違います。OCIのサービス宛でインターネットを経由させたくないなら、答えはサービスゲートウェイです。
典型②:ポリシーを読めても書けない
動詞の4段階(inspect/read/use/manage)とコンパートメントの指定は、最小権限を問う設問で必ず出ます。書ける状態まで持っていきましょう。
典型③:ハンズオンをまったくやらない
ルート表・セキュリティリスト・ゲートウェイの関係は、一度自分で通すだけで理解が変わります。無料枠があるのに使わないのは損です。
Architect Associateのよくある疑問
受験は可能です。ただしテナンシやコンパートメントといった前提概念の説明は、この試験ではほぼ省かれます。OCIが初めてなら、Foundationsの範囲を軽く通してから入るほうが結果的に速いです。
2〜3時間で十分です。VCNを1本作り、パブリック/プライベートにインスタンスを立て、セキュリティ制御を試す。この最小セットだけで、ネットワークの設問の見え方が変わります。
近年はNSGを主体にする構成が増えています。VNIC単位で当てられ、ルールの参照先にNSGを指定できるため、階層構造をそのまま表現できるからです。試験では両方の性質が問われます。
平気です。無料の公式トレーニングと練習問題が用意されており、そこに用語の即答化とハンズオンを足せば届きます。
同じアソシエイト帯で、難易度に大きな差はありません。ただしOCIは固有名称が多く、他クラウド経験者ほど「名前の違い」で減点されがちです。読み替えを丁寧にやりましょう。
押さえどころの整理
- Architect Associateは「作れるか」を問う試験。要件から構成を逆算する解き方に切り替える。
- 最大の山場はネットワーク。ゲートウェイ5種を「通す通信の向き」で覚え、ルート表とセットで理解する。
- セキュリティリスト(サブネット単位)とNSG(VNIC単位)の違い、IAMポリシーの動詞4段階は必修。
- Always Free枠でVCNを1本組む。公式トレーニングと模試の振り返りで、選択肢の消し方を固める。

