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AZ-305でつまずく人の多くは、知識が足りないのではなく「運用の答え方」のまま設計問題を解いています。AZ-104までは正しい操作を選べば正解でしたが、AZ-305は複数の正しい構成のなかから、要件に最も合う一つを選ばせます。この切り替えができるかどうかが、合否をほぼ決めます。
AZ-305(Designing Microsoft Azure Infrastructure Solutions)は、Azure Solutions Architect Expert認定に到達するための設計試験です。出題は4つの設計領域——ID・ガバナンス・監視、データストレージ、事業継続、インフラ——に分かれ、それぞれ「要件が先、サービスは後」という順序で問われます。この記事では、4領域のウェイトと、データストア選定・冗長性・ネットワーク・ガバナンスという4つの判断軸を、実際の設問で使える形に整理します。
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この記事でわかること
- AZ-104とAZ-305の問われ方の違いと、切り替えるべき思考の順序
- 4つの設計領域のウェイトと、インフラ設計30〜35%という重心
- データストア選定・冗長性・ネットワーク・ガバナンスの判断軸
- ケーススタディ形式で前提条件を落とさない読み方
設計を選ぶ問題でも、選択肢に並ぶサービス名の役割が出てこなければ比較は始まりません。語彙を先に固め、そのうえで判断の型をつくる——本記事はこの順で進めます。
→ なぜ「思い出す」練習で定着するのか(テスト効果の科学)
- AZ-305はAZ-104の続きではない|「操作できる」から「選べる」への転換
- 4つの設計領域とウェイト|インフラ設計30〜35%が最大の山
- データストア選定の分岐点|Azure SQL Database・SQL Managed Instance・Cosmos DB
- 冗長性の階段を言葉で説明できるか|LRS・ZRS・GRS・GZRS
- RTO/RPOから逆算する事業継続設計|Azure BackupとSite Recoveryの役割分担
- ネットワーク設計の型|ハブ&スポーク、Private Link、ExpressRouteとVPN
- Entra IDとガバナンスの層構造|管理グループ・RBAC・PIM・Azure Policy
- 設計語彙を先に固める|AZ-305ドリルの回し方
- ケーススタディの読み方|前提条件を拾ってから選択肢を見る
- 合格体験記に多い学習時間と到達点|数字で見る目安
- AZ-104からの距離で決まる学習期間
- 教材の組み合わせ|Microsoft Learn+和書1冊+模試
- Udemyで設計ケースを補強する
- 合格後に任される仕事|提案と要件定義の側へ
- AZ-305でつまずく典型パターン
- AZ-305のよくある疑問
- 📚 AZ-305の和書はこの1冊が使える
- この記事の結論
AZ-305はAZ-104の続きではない|「操作できる」から「選べる」への転換
AZ-104は「Azureを正しく操作できるか」を見る運用者の試験でした。AZ-305が見るのは「要件に対して最適な構成を選べるか」です。この違いは設問の作り方に表れます。AZ-104なら手順が1つに定まりますが、AZ-305では選択肢に並ぶ構成がどれも技術的には動く。そのうえで「コストを最小に」「RPOは15分以内」「オンプレからのアクセスはインターネットを経由しない」といった制約が本文に埋め込まれ、それを満たす一つを選ばせます。
だから解き方の順序が変わります。選択肢を先に見て「知っているサービスがある」で選ぶと、ほぼ外れます。本文から制約を拾う → 制約に反する選択肢を消す → 残りをコストと運用負荷で比べる。この順序を最初から体に入れておくと、学習中の教材の読み方も変わります。
AZ-305の設問は、実務の設計レビューをそのまま短くしたような作りです。「なぜその構成にしたのか」を一文で説明できるか——現場で問われるのと同じ問いが、選択肢の形で出てきます。逆に言えば、この試験の勉強はそのまま提案資料の説得力に変わります。
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AZ-305 合格対策テキスト&問題集4つの設計領域とウェイト|インフラ設計30〜35%が最大の山
Microsoftが公開している「Skills at a glance」では、AZ-305の出題は次の4領域で構成されます。
| 領域 | ウェイト | 主な判断対象 |
|---|---|---|
| インフラソリューションの設計 | 30〜35% | コンピュート、アプリアーキテクチャ、移行、ネットワーク |
| ID・ガバナンス・監視の設計 | 25〜30% | 認証と認可、管理グループ、Azure Policy、ログと監視 |
| データストレージの設計 | 20〜25% | リレーショナル、非リレーショナル、半構造化データ |
| 事業継続の設計 | 15〜20% | バックアップと復旧、高可用性 |
合格は1,000点満点中700点。領域別の足切りはありません。重心は明確で、インフラ設計とID/ガバナンスで55〜65%を占めます。ただし事業継続は比重こそ小さいものの、RTO/RPOという「他領域の設問にも顔を出す共通言語」を扱うため、割合で軽視すると全体が崩れます。最新のウェイトと出題項目は、必ずMicrosoft Learnの学習ガイドで確認してください。
データストア選定の分岐点|Azure SQL Database・SQL Managed Instance・Cosmos DB
データストレージ領域で最も出るのが、この3つの選び分けです。判断の分岐は次のように立てられます。
1SQL Serverからの移行で、インスタンス機能が要るか
SQL Server Agent、クロスデータベースクエリ、CLR、リンクサーバーなどインスタンスレベルの機能に依存しているならSQL Managed Instance。ほぼそのまま持っていける(リフト&シフト)ことが選定理由になります。
2新規/単一DBで、PaaSの手離れを優先するか
個々のデータベース単位で管理でき、サーバーレスや弾力的プールが使えるAzure SQL Database。運用負荷の最小化が要件に書かれていたらこちらです。
3グローバル分散と低遅延、スキーマの柔軟性が要るか
複数リージョンへの書き込み、ミリ秒単位のレイテンシ、JSON中心のデータならCosmos DB。整合性レベル(強力/有界整合性制約/セッション/整合性のあるプレフィックス/結果整合性)をどこに置くかまで問われます。
加えて、非構造化データはBlob Storage(ホット/クール/コールド/アーカイブのアクセス層とライフサイクル管理)、SMBの共有ファイルはAzure Files、大規模分析ならData Lake Storage、というレイヤーも整理しておきます。「安いのはどれか」ではなく「アクセス頻度と取り出しコストの組み合わせで最も安いのはどれか」が問われる点に注意してください。
冗長性の階段を言葉で説明できるか|LRS・ZRS・GRS・GZRS
ストレージの冗長性は、設問中で頻繁に「地理的な障害に耐えられること」といった言い方で登場します。段階を言葉で言えるようにしておきます。
- LRS:単一のデータセンター内で複製。最も安いが、施設単位の障害には弱い。
- ZRS:同一リージョン内の複数の可用性ゾーンに複製。ゾーン障害に耐える。
- GRS:別リージョンへ非同期で複製。リージョン障害に備えるが、通常はセカンダリを読めない。
- RA-GRS:GRSに加えてセカンダリからの読み取りが可能。
- GZRS/RA-GZRS:ゾーン冗長と地理冗長の組み合わせ。
ここに可用性ゾーンと可用性セットの違いが重なります。可用性セットは同一データセンター内での障害ドメイン/更新ドメインの分散、可用性ゾーンは物理的に離れた施設への分散。「計画メンテナンスとラック障害に備える」なら前者、「データセンター単位の障害に備える」なら後者、という読み分けです。
RTO/RPOから逆算する事業継続設計|Azure BackupとSite Recoveryの役割分担
事業継続の設問は、ほぼ必ずRTO(どれだけ早く戻すか)とRPO(どれだけのデータ損失を許すか)の数字が本文に書かれています。ここを読み落とすと、答えは決まりません。
役割分担はシンプルです。Azure Backupはデータの復元(世代管理、長期保持、誤削除やランサムウェアからの復旧)、Azure Site Recoveryはワークロードそのもののレプリケーションとフェールオーバー(システムを別リージョンで立ち上げ直す)。「1時間以内に別リージョンで稼働させたい」ならSite Recovery、「3年分の月次バックアップを保持したい」ならBackupの長期保持、という対応です。データベース側ではAzure SQLの自動バックアップ、ポイントインタイム復元、フェールオーバーグループといった機能が対応します。
ネットワーク設計の型|ハブ&スポーク、Private Link、ExpressRouteとVPN
インフラ領域のネットワークは、いくつかの「型」を持っておくと迷いません。
- ハブ&スポーク:共有サービス(ファイアウォール、DNS、ゲートウェイ)をハブに置き、業務システムをスポークに分ける。ガバナンスとコストの両面で定番。
- Private Link/プライベートエンドポイント:PaaSサービスへの通信をVNet内のプライベートIPで受ける。「インターネットを経由させない」という要件が出たらこれ。
- サービスエンドポイント:Private Linkと混同しやすい。トラフィックはAzureバックボーンを通るが、宛先はサービスのパブリックIPのまま。要件が「プライベートIPで」ならPrivate Link一択です。
- ExpressRoute と サイト間VPN:帯域・遅延・SLAが要件ならExpressRoute、コスト優先やバックアップ経路ならVPN。両方を併用して冗長化する構成も出ます。
負荷分散も、L7でのルーティングとWAFが要るならApplication Gateway、グローバルな配信とWAFならFront Door、L4のリージョン内ならLoad Balancer、DNSレベルの振り分けならTraffic Manager、と「どの層で、どの範囲を分散するか」で決まります。
Entra IDとガバナンスの層構造|管理グループ・RBAC・PIM・Azure Policy
ID・ガバナンス領域は、階層の理解がそのまま得点になります。管理グループ → サブスクリプション → リソースグループ → リソースという入れ子があり、RBACの割り当てもAzure Policyの適用も、上位に付ければ下位へ継承されます。「全サブスクリプションに同じ規制を効かせたい」なら管理グループ、という判断です。
役割の使い分けも頻出です。RBACは「誰が何をできるか」、Azure Policyは「どんなリソースを作れるか/設定はどうあるべきか」。前者は権限、後者は準拠性で、目的が違います。さらにPIM(Privileged Identity Management)は特権ロールを常時付与せず、必要なときだけ承認付きで有効化する仕組み。「管理者権限を恒久的に持たせたくない」という要件が出たら、これが答えです。認証側では条件付きアクセス、多要素認証、マネージドID(アプリに資格情報を持たせない)を整理しておきます。
監視設計では、Log Analyticsワークスペースをどこに、いくつ置くか(データ主権、コスト、アクセス制御)と、診断設定でどのログをどこへ送るか(ワークスペース/ストレージアカウント/イベントハブ)の判断が問われます。
設計語彙を先に固める|AZ-305ドリルの回し方
ここまでの判断軸は、サービス名が即座に出てこないと使えません。「ZRSってゾーンだったか地理だったか」で3秒止まると、ケーススタディの残り時間が削られます。きおくるのAZ-305用語ドリルは、ID/ガバナンス・ストレージ・BCDR・コンピュート・ネットワーク・アプリ設計の頻出用語を、隠して答える形式に整えています。
1要件語からサービスを引ける向きで覚える
「サービス名→説明」だけでなく「プライベートIPで接続→Private Link」のように、要件から引ける向きも作ります。
2紛らわしい対を並べて覚える
Private Linkとサービスエンドポイント、可用性セットと可用性ゾーン、RBACとAzure Policy。混同ペアは同時に確認します。
3外した語だけを翌日もう一度
全問を均等に回すより、間違えた語に絞って翌日・3日後・1週間後と間隔を空けるほうが定着します。
ケーススタディの読み方|前提条件を拾ってから選択肢を見る
AZ-305にはケーススタディ形式が含まれ、共通の背景(既存環境、技術要件、ビジネス要件)を読んだうえで複数問に答えます。ここでの失点はほぼ「前提の読み落とし」です。
ケーススタディでは、本文を読みながら制約を種類別にメモしてください。①コスト(最小化か、上限があるか)②可用性(RTO/RPO、ゾーンかリージョンか)③セキュリティ(暗号化、閉域、権限の恒久付与の可否)④運用(管理を減らしたいのか、既存の運用に合わせたいのか)。設問ごとにこの4つのどれが効いているかを確認すれば、選択肢は自動的に絞れます。ケーススタディの画面は行き来できるので、迷ったら本文に戻る前提で進めましょう。
合格体験記に多い学習時間と到達点|数字で見る目安
AZ-305の合格体験記で報告される学習時間は、AZ-104取得済みで50〜80時間、Azure設計の実務経験があれば30〜50時間が中心帯です。AZ-104を経ずに挑む場合は基礎知識の補完で100時間超の報告が多くなります。期間は1日1時間換算で6〜10週間が標準です。
到達点の目安は、Microsoft Learnの練習評価と模試で直前期に75〜85%に安定した受験者の合格報告が目立ちます。AZ-305は合格ライン700点(1000点満点)に対し、ケーススタディで前提条件の読み落としがあると一気に失点するため、模試の正答率だけでなく「前提条件を拾ってから選択肢を見る」手順が身についているかを最後に確認します。設計語彙(冗長性オプション・データストア・ネットワーク構成)の即答化を先に終えておくと、ケーススタディに使える演習時間が増えます。
AZ-104からの距離で決まる学習期間
必要な時間は、設計の実務経験があるかで大きく変わります。
毎日40分 × 7〜10週間ペース
毎日40分 × 5〜7週間ペース
毎日40分 × 4〜5週間ペース
教材の組み合わせ|Microsoft Learn+和書1冊+模試
AZ-305はMicrosoft Learnの学習パスが無料で公開されており、しかも試験の出題項目と対応しています。学習ガイドの「Skills measured」を目次代わりに使い、対応するLearnモジュールを潰していくのが最短です。和書は数が限られますが、日本語で全体像を一度通したい人には1冊あると学習の速度が上がります。
設計語彙を要件から引ける状態にする
Skills measuredを目次にモジュールを消化
制約の拾い方を反復して固める
Microsoft Learnを漫然と読むと時間だけが溶けます。おすすめは「モジュールを読む前に、その項目の設問を自分で1つ作ってみる」方法。たとえば冗長性の章なら「RPO 0、リージョン障害に耐える、コストは二の次——どれ?」と自問してから読むと、必要な情報だけが目に入ります。
Udemyで設計ケースを補強する
和書とLearnで足りないのは、「なぜその構成を選んだのか」の解説です。動画講座の模擬試験は、正解だけでなく他の選択肢が不適切な理由まで説明してくれるものが多く、判断の型を作るのに向きます。
合格後に任される仕事|提案と要件定義の側へ
1要件から構成を起こせる
可用性・コスト・セキュリティの要件を受け取って、データストア、ネットワーク、DR方式を組み合わせた案を出せるようになります。複数案を出し、トレードオフを添えて説明できるのが設計者の仕事です。
2ガバナンスを最初から織り込める
管理グループの階層設計、Azure Policyによる規制、PIMによる特権の時限化。あとから直すと高くつく部分を、設計段階で入れられます。
3次の一枚を選ぶ
Microsoft認定の全体像はAzure資格はどの順番?Microsoft認定5資格の比較と勉強法で整理しています。運用側を固め直すならAZ-104の用語に戻るのも有効です。
AZ-305でつまずく典型パターン
パターン①:選択肢から読み始める
技術的に正しい選択肢が複数あるのがこの試験です。本文の制約を先に拾わないと、正しいのに不正解な答えを選びます。
パターン②:似た機能の「目的の違い」を押さえていない
Private Linkとサービスエンドポイント、RBACとAzure Policy、BackupとSite Recovery。名前ではなく目的で区別しましょう。
パターン③:冗長性の用語を雰囲気で覚えている
LRS/ZRS/GRS/GZRSの違いは、事業継続だけでなくストレージ設計の設問にも顔を出します。言葉で説明できる状態にしておきましょう。
AZ-305のよくある疑問
受験の前提条件ではありません。ただしAZ-305は運用知識があることを前提に設問が作られています。VNet、ストレージ、VM、Entra IDの基本操作が曖昧なら、先にそこを埋めるほうが早いです。
1,000点満点中700点です。領域別の足切りはないため、得意領域で苦手を補えます。最新の採点方式は公式の情報で確認してください。
出題構成は回によって変わるため、公式も固定の数は示していません。「背景を読んで複数問に答える塊がある」前提で、時間配分を組んでおきましょう。
逆です。選択肢に並ぶサービス名の役割が即座に出てこないと、比較する土俵に上がれません。暗記は目的ではなく、判断の速度を上げるための下地です。
Azure Solutions Architect Expertです。前提となる認定の扱いは変更されることがあるため、最新の要件はMicrosoftの公式ページで確認してください。
📚 AZ-305の和書はこの1冊が使える

この記事の結論
- AZ-305は「操作できるか」ではなく「要件に最も合う構成を選べるか」を見る設計試験。
- ウェイトはインフラ設計30〜35%、ID/ガバナンス/監視25〜30%、データストレージ20〜25%、事業継続15〜20%。合格は700点。
- データストア選定、冗長性の階段、Private Linkの使いどころ、管理グループの階層——この4つが判断の軸になる。
- 解く順序は「制約を拾う→反する選択肢を消す→コストと運用負荷で比べる」。ケーススタディでは特に徹底する。

