応用情報・高度試験がなくなる?2027年度 情報処理技術者試験の大再編を全解説

2027年度の情報処理技術者試験 再編を解説する記事のアイキャッチ 資格

応用情報技術者試験と高度試験がなくなる——2026年3月31日にIPAと経済産業省が公表した「見直しの検討状況」を見て、そう受け取った人は少なくないはずです。結論から言うと、現行試験制度は2026年度の実施をもって終了予定で、2027年度から新しい8区分の体系に移行します。応用情報と高度8区分は「プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)」の3区分へ大括り化されます。この記事では、公表資料で確定している事実と、まだ未公表の論点をはっきり分けて整理します。

結論|3行でわかる2027年度の大再編

  • いつから:2027年度春頃にIP・SG・FEが移行、夏〜秋頃に新設試験と支援士が移行。現行制度は2026年度の実施で終了予定
  • 何が変わる:現行12区分→新8区分。応用情報+高度8区分がPDS試験3区分(マネジメント/データ・AI/システム)に統合。全区分CBT化
  • 今受けるべきか:応用情報・高度を狙っているなら2026年度中の受験が有利。合格実績が無効になるという記述は公表資料に一切ありません

出典:IPA「情報処理技術者試験及び情報処理安全確保支援士試験の見直しの検討状況について」(2026年3月31日公表・4月28日更新)。公表内容は検討状況であり、区分名はすべて仮称・今後変更の可能性があります

2027年度の情報処理技術者試験|現行12区分から新8区分へ

今回の見直しは、経済産業省「Society 5.0時代のデジタル人材育成に関する検討会 報告書」(2025年5月公表)を踏まえたものです。平成21年(2009年)の改革以来、18年ぶりの試験制度改革にあたります。全体像を1枚にすると次のようになります。

現行(〜2026年度)12区分 新制度(2027年度〜)8区分 ITパスポート試験 情報セキュリティマネジメント 基本情報技術者試験 応用情報+高度8区分 AP/ST・SA・PM・NW DB・ES・SM・AU =9区分を大括り化 情報処理安全確保支援士試験 再編 ITパスポート試験(内容変更) データマネジメント試験(新設) 情報セキュリティマネジメント 基本情報技術者試験 プロフェッショナル デジタルスキル試験(新設) マネジメント/データ・AI/システム =3区分 情報処理安全確保支援士試験 きおくる kiokuru.com

見直しのポイントは公表資料で5点に整理されています。①データマネジメント試験(仮称)の新設、②ITパスポート試験の出題構成変更、③プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)の新設、④情報セキュリティマネジメント試験・基本情報技術者試験の一部変更、⑤情報処理安全確保支援士試験の一部変更、の5つです。

確定している事実:現行制度は2026年度で終了予定

IPAは「現行試験制度については、2026年度の試験実施をもって終了する予定です」と明記しています。つまり応用情報技術者試験・高度試験という名前で受験できる最後の年度が2026年度(令和8年度)です。ここは推測ではなく公表済みの内容です。

現行と新試験の対応表|応用情報・高度試験はどこへ行くのか

新8区分の試験時間・出題数は公表されています。現行区分との対応イメージと合わせて一覧にします。

新試験区分(仮称) 位置づけ 試験時間/出題数 現行での近い区分(推定)
ITパスポート試験内容変更120分/100問IP(分野を3区分に再整理)
データマネジメント試験新設科目A+B計120分/A48問・B12問該当なし(IPの次の段)
情報セキュリティマネジメント試験継続科目A+B計120分/A48問・B12問SG
基本情報技術者試験継続科目A90分60問/科目B100分20問FE
PDS(マネジメント)試験新設A-1 90分60問/A-2+B計120分(23問・12問)ST・PM・SM・AU の領域
PDS(データ・AI)試験新設A-1 90分60問/A-2+B計120分(23問・12問)DB の領域+データ分析・AI
PDS(システム)試験新設A-1 90分60問/A-2+B計120分(23問・12問)SA・NW・ES の領域
情報処理安全確保支援士試験一部変更A-1 45分30問/A-2 35分25問/B 120分12問SC

右端の「現行での近い区分」は、公表された科目B(技能)の出題範囲から読み取れる領域の対応であり、IPAが現行区分と新区分の1対1の対応表を公表しているわけではありません。応用情報技術者試験は3区分のいずれかに単純に置き換わるのではなく、応用情報と高度8区分をまとめて再編した結果としてPDS3区分が生まれる、という整理です。

プロフェッショナルデジタルスキル試験3区分の中身

マネジメント領域|戦略・サービス・プロジェクト・監査を1本に

科目Bの出題範囲は「組織及びビジネスの変革・デジタル戦略」「サービスマネジメント」「プロジェクトマネジメント」「組織のガバナンス・監査」の4本柱です。現行のITストラテジスト・ITサービスマネージャ・プロジェクトマネージャ・システム監査技術者が扱ってきた領域が、そのまま1区分に束ねられた構成になっています。イノベーションマネジメントやシステム思考・デザイン思考も出題範囲に明記されました。

データ・AI領域|DB+データ分析+生成AIの新設ゾーン

科目Bは「データマネジメント」「データ・AIの活用」「データエンジニアリング」「データ処理とアルゴリズム」の4本柱。データの操作についてSQLを扱い、プログラム言語については擬似言語を扱うと注記されています。生成AI技術(マルチモーダル・RAG・AIエージェント)やAI倫理、データ基盤・データパイプラインの設計運用まで含み、現行のデータベーススペシャリストより明確に射程が広い区分です。

システム領域|要件定義・アーキテクチャ設計・開発・運用を主導する

概要は「デジタル技術を適用するシステムの要件定義・アーキテクチャ設計・開発・運用を主導する専門的な知識及び技能」と定義されています。現行のシステムアーキテクト・ネットワークスペシャリスト・エンベデッドシステムスペシャリストが担ってきた技術系の設計・構築領域が中心になります。

データマネジメント試験(仮称)とは|ITパスポートの次のステップ

今回の新設で最も対象者が広いのがデータマネジメント試験です。IPAは「AI活用において求められる、主にビジネス部門を想定したデータの整備・管理に関するスキル」を評価する試験と位置づけ、ITパスポート試験の次のステップとして明確に定義しています。エンジニア向けではなく、幅広いビジネスパーソンの受験を想定した区分です。

科目Bの出題範囲は「データの適切な取扱い」「データ活用による意思決定、検証と改善」「データ活用の組織文化の醸成」「データマネジメントの成熟度向上」の4つ。非構造化データの取扱いやPoC(概念実証)の企画・実施まで含まれます。ITパスポートに合格していて次を迷っている人にとって、基本情報とは別方向の選択肢が増えたことになります。IPA資格全体の並びはIPA資格のロードマップで確認してください。

記述式・論述式は廃止される?現時点で未公表の論点

ここは正確に切り分けます。「記述式・論述式の廃止」や「全問多肢選択化」は、2026年3月31日公表の資料には書かれていません。出題範囲等の改定案(Ver.1.0)にも出題形式に関する記述はありません。公表されているのは試験時間と出題数、そして全区分をCBT方式で実施する予定であることだけです。

ただし、PDS各試験の科目Bが「科目A-2と合わせて120分の枠内で12問」という構成である点は、現行の高度試験午後II(2時間で論述1問)とは明らかに異なる設計です。形式が変わる可能性は高いものの、断定できる段階ではありません。なお、情報処理安全確保支援士試験については「科目Bの出題形式の変更」が見直しポイントとして明記されています。

NG①:「論述試験が廃止された」と断定して対策をやめる
出題形式は公表されていません。IPAはシラバス案とサンプル問題を2026年度夏頃を目途に一通り公表する予定としており、形式が判明するのはその時点です。それまでは現行の対策を止める理由がありません。

NG②:「既に取った資格が無効になる」と思い込む
合格実績が失効するという記述は公表資料のどこにもありません。むしろIPAは学びのプラットフォーム構想の中で「2026年度に実施する現行試験や過去の合格情報も登録し、活用することが可能となります」と明記しています。

NG③:受験料や実施回数を既定のものとして計画を立てる
データマネジメント試験とPDS各試験の実施時期・期間の詳細は「検討中」と明記されています。受験料も未公表です。IP・SG・FEは従来どおり通年実施の予定です。

2026年度中に応用情報・高度試験を取っておくべきか

読者が一番知りたいのはここでしょう。判断基準を3つに絞ります。

1現行区分の合格が目的なら2026年度が最後のチャンス

「応用情報技術者」「プロジェクトマネージャ」といった名称そのものが履歴書や社内の資格手当で意味を持つなら、2026年度中に取り切るのが合理的です。現行制度は2026年度の実施をもって終了予定で、次はありません。

2免除の経過措置を取りに行くなら現行受験が有利

IPAは経過措置として、現行の高度試験または支援士試験で一部科目の免除要件を満たした場合、一定期間、PDS各試験・支援士試験で一部科目を免除することを検討中としています。2026年度に科目A-1の免除要件(高度試験・支援士の合格または科目A-1通過)を確保しておけば、新制度への持ち越しが期待できます。

3データ・AI志向なら2027年度の新設区分を待つ選択もある

生成AI・データ基盤・データガバナンスを仕事の軸にしたい人にとって、PDS(データ・AI)試験は現行のどの区分よりも射程が合います。急ぎでなければ待つ判断も成立します。並行してクラウド系の認定を積むならAWS認定8資格の順番と勉強法AWS資格3階建てロードマップが参考になります。

いずれの道を選んでも、土台になるのは用語の即答化です。科目A(知識)の比重は新制度でも大きく、PDS各試験では科目A-1だけで90分60問が課されます。5秒で答える想起練習を反復回数で積むほど、科目Bの読解に回せる時間が増えます。応用情報の用語ドリル基本情報の用語ドリルは現行シラバスに沿った出題ですが、科目Aの知識体系は表記の再整理が中心で問う範囲そのものは変わらないとされているため、2027年度以降も土台として通用します。基本情報からの積み上げ方は基本情報3か月モデルにまとめています。

情報処理技術者試験の再編に関するよくある質問

Q. 基本情報技術者試験はなくなりますか?

なくなりません。基本情報技術者試験は継続で、科目A 90分60問・科目B 100分20問という現行に近い構成が示されています。変更は科目Aの出題範囲体系の表記整理と科目Bの一部変更で、試験で問う知識・技能の範囲そのものに変更はないと注釈されています。

Q. 情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)はどうなりますか?

独立した区分として存続します。科目A-1が45分30問、科目A-2が35分25問、科目Bが120分12問となり、試験時間と科目Bの出題形式が変更される予定です。科目A-2免除制度は変更予定なしと明記されています。

Q. 2026年度に応用情報に合格したら、新制度では何に相当しますか?

現時点で未公表です。IPAは現行区分と新区分の読み替えや同等性について何も示していません。分かっているのは、免除に関する経過措置が検討されていることと、過去の合格情報がIPAの学習プラットフォームに登録・活用できる見込みであることの2点だけです。

Q. 続報はいつ出ますか?

IPAは新試験のシラバス案とサンプル問題を、準備が整ったものから順次掲載し2026年度夏頃を目途に一通り公表する予定としています。シラバス案は試験区分ごとに暫定版の段階から随時公開されるため、志望区分が決まっている人はIPAの試験制度見直しページを定期的に確認してください。本記事も公表があり次第、確定事実と未公表事項の区別を保ったまま更新します。

まとめ

  • 現行制度は2026年度の実施で終了予定。2027年度から新8区分に移行し、応用情報+高度8区分はPDS試験3区分へ大括り化される
  • 記述式・論述式の廃止や全問多肢選択化は現時点で未公表。公表済みなのは試験時間・出題数・全区分CBT化・免除の経過措置検討まで
  • 現行区分の名称と免除要件が欲しいなら2026年度中に取り切る。どちらにせよ科目Aの用語の即答化が土台になる

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再編を待たずに、いま取れる1枚を固める

2027年度の再編でも基本情報・応用情報の学習内容そのものは大きく変わりません。制度を待つより、いま受けられる区分を取り切るほうが確実です。

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きおくるラボ(kiokuru lab)。暗記ドリル「きおくる」の運営者1名です。ITプロジェクトマネージャとして働きながら、大学受験の英単語・古文単語から社会人のIT資格まで、暗記が成果に直結する領域のドリルと記事を1人で作っています。記憶科学(忘却曲線・分散学習・検索練習)を学習設計に落とし込むことがテーマ。外部ライターへの発注や自動生成による記事量産は行っていません。X: @kiokuru_lab

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